拍とリズム

このページの目次

音楽を聴くと、うなずいたり手で拍を刻んだりすることがあります。規則的なパターンもあれば、前へ押すように聞こえるものや、意外な空白のあるものもあります。

この違いを、すべて「速い」「遅い」で説明できるでしょうか。

拍が進む速さと、音が鳴る位置は、別々に変えられます。 この回では、まず耳でその違いを比べます。

「音楽の基礎」の第 1 回です。楽器も読譜の経験も必要ありません。短い二つのリズムを比べ、変わったのがテンポか発音位置かを説明することが目標です。

まず聴く:変化を感じるのはどちら?

機器の音量を快適な範囲にし、A と B を別々に聴きます。どちらも短く、最後まで行くと自動で止まります。規則的なのはどちらか、跳ねるように感じるのはどちらか、最初の印象を覚えておきましょう。差が小さく感じられても進めて構いません。

図を準備しています
二つの版を聴いて、音の位置を見る

A と B はともに 100 BPM の二小節で、一小節に四回発音します。A は 1、2、3、4 拍目、B は 1 拍目、2 拍目の後半、3 拍目、4 拍目の後半です。音色、音量、全長は同じで、位置が異なります。

「タイミングを表示」を選んで、もう一度聴きます。両方とも 100 BPM、一小節に四回の発音で、音色と音量も同じです。B では二つの音が半拍後ろへ移っています。

「一定のパルスを加える」を選ぶと、控えめで高い音が等間隔に鳴ります。それに合わせて「1、2、3、4」と数えましょう。低い音はパルスと重なることも、その間に入ることもあります。

一つのマスは半拍です。● は発音、— は発音なし、& は拍の中間を示します。英語の and のように読み、one and two and three and four and と数えられます。パターンを一度繰り返すので、全体は二小節です。

B が「速い」と感じられる必要はありません。印象は人によって異なります。確かめられるのは、⁠基準パルスは速くなっていないのに、一部の音の位置が変わったという関係です。

拍、テンポ、リズム型を分ける

一定の速さで歩く場面を想像してください。足取りを拍、その進む速さをテンポと考えます。特定の足取りや、その間で手を叩くと、さまざまなリズム型ができます。

概念ここでの意味確かめ方
拍音楽を通して追える規則的なパルス基準パルスに合わせて数える
テンポパルスが進む速さ拍同士の時間間隔を比べる
リズム型音と空白の時間的な配置拍上か、拍の間かを確認する

BPM は一分あたりの拍数です。 ここで選んだ拍の単位なら、60 BPM は一秒に一拍、120 BPM は 0.5 秒に一拍、100 BPM は 0.6 秒に一拍です。BPM は聞こえた音の総数を数えるものではありません。一拍に二音が入ることも、一音も鳴らないこともあります。拍、テンポ、拍子

今回は比べやすいよう、四拍を一つの小節にまとめます。音楽が常に四拍ずつとは限りません。拍とアクセントのまとまりは後の回で扱います。

実際のリズムには音の長さ、アクセント、演奏の細かな揺れも関わります。ここでは短い打音と音色を固定し、いつ音が始まるかに集中します。

一音を動かしてから、テンポを変える

まず 100 BPM のまま、A の二番目の発音を「2」から直後の「&」へ移してください。同じ速さで数え続けられますか。

次に A を復元し、マスを変えず 80、100、120 BPM を比較します。今度は基準パルスも速くなり、全体が短い時間で終わります。

図を準備しています
一つを固定し、別の一つを変える

四拍の各拍を二マスに分け、配置を二回繰り返します。A または B を復元して 100 BPM のまま位置を編集するか、配置を固定して 80、100、120 BPM を比べます。編集すると停止し、次は最初から再生します。

発音を動かす編集は、拍に対する位置を変えます。テンポを上げる編集は、同じ配置全体を速く進めます。

基準パルスを残し、拍上の一音を消して空白も試しましょう。その瞬間も数え続けられます。⁠何も鳴らないからといって、拍がなくなるわけではありません。 基準パルスを切って心の中で数え、必要なら戻して構いません。

打音につられて、一定の拍を見失ったら?

A を復元し、高い基準パルスに注意して「1、2、3、4」と数えます。その間隔を保って B に切り替えましょう。80 BPM に遅くするか、図で位置を確認しても構いません。反応速度ではなく、どの層を追うかを選ぶ練習です。

音楽によっては、拍の取り方が複数成り立ちます。人によって半分や二倍の速さで拍を感じることもあります。この実験は同じ時間の枠で比較できるよう、基準パルスを指定しています。

新しい例では、何が変わった?

次は別のパターンです。各組の C と D で、基準パルスが速くなったのか、低い打音の位置が動いたのかを比べます。何度聴いても構いません。まずパルス、次に打音へ注意を移しましょう。

図を準備しています
新しい例で変化を聴き分ける

第一の組は C と D がともに 100 BPM、一小節四音で、発音位置が違います。第二の組は配置が同じで、C は 90 BPM、D は 120 BPM。高い基準パルスを手がかりにし、答えを選んで理由を確認できます。

二組の答えと理由を見る

第一の組: C と D はともに 100 BPM、一小節に四回の発音です。C は「1、1 の後の and、3、4」、D は「1、2、3 の後の and、4」で鳴ります。テンポと数は同じで、位置が違います。

第二の組: 両方とも「1、2、2 の後の and、4」で鳴ります。C は 90 BPM、D は 120 BPM。配置は同じでも D のパルスと打音が速く進むので、二小節が早く終わります。

今は音を出せない場合、紙に八マスを描いて位置を印してください。位置と BPM のどちらが変わるかを確認し、音を聴けるときに戻りましょう。

次に聴く曲へ、一つの観察を持ち込む

拍が分かりやすい好きな曲を選び、静かに数えながらドラムや声を追います。すべての音が拍上から始まるでしょうか。空白はどこにあり、拍の間で始まる音はどこでしょう。まだ正確な BPM を計算する必要はありません。

「勢いが増した」と感じたら、「拍は同じで、発音位置が変わった」「同じ型が速くなった」と一文加えてみましょう。大まかな印象を、比較して話せる音楽的な関係にできます。

次回は「いつ鳴るか」から「どの音か」へ進みます。全部の音が高くなっても、なぜ旋律が分かるのでしょうか。

さらに聴く・読む

本回のパターンは練習用の自作です。打音と基準パルスは合成したデモ音を使っています。