---
title: M/M/1：利用率とテールレイテンシ
url: https://doc.liz6.com/ja/theory/03-queueing-theory/04-mm1-and-tail-latency
locale: ja
area: theory
tags:
- 待ち行列理論
- 基礎理論
date: 2026-09-10
modified: 2026-09-10
description: M/M/1はランダムな到着と処理を厳密に解けるモデルです。利用率が1に近づくと待ち時間が非線形に増える理由と、平均だけでは利用者の経験を表せない理由を示します。
---

# M/M/1：利用率とテールレイテンシ

M/M/1はランダムな到着と処理を厳密に解けるモデルです。利用率が1に近づくと待ち時間が非線形に増える理由と、平均だけでは利用者の経験を表せない理由を示します。

## 状態平衡から平均へ

外生Poisson到着率 $\lambda$、独立同分布の指数処理率 $\mu$、両者の独立、単一FCFS窓口、無限待機容量、放棄・再試行なしを仮定します。状態 $n$ は系内要求数。到着により率 $\lambda$ で増え、空でないとき処理完了により率 $\mu$ で減ります。

定常状態の隣接平衡は $\pi_n\lambda=\pi_{n+1}\mu$。$\rho=\lambda/\mu$ とおいて幾何級数を正規化すると：

$$\pi_n=(1-\rho)\rho^n,\quad\rho<1;\qquad L=\sum_{n\ge0}n\pi_n=\frac{\rho}{1-\rho}.$$

したがって：

$$E[T]=\frac1{\mu-\lambda},\quad E[W_q]=\frac{\rho}{\mu-\lambda},\quad L_q=\frac{\rho^2}{1-\rho}.$$

$\rho\ge1$ では無限状態連鎖を正規化できず、定常分布はありません。式へ代入して「負の待ち時間」を出すのは誤りです。等号もこの確率系の安全な平衡点ではありません。

## 厳密に計算できる裾

到着者は確率 $\pi_n$ で前に $n$ 要求を見ます。無記憶性により自身の系内時間は $n+1$ 個の独立指数処理時間の和です。これを幾何分布の重みで混ぜると：

$$P(T>t)=e^{-(\mu-\lambda)t},\qquad t\ge0.$$

待ち時間は異なり、確率 $1-\rho$ で直ちに処理が始まります。

$$P(W_q>t)=\rho e^{-(\mu-\lambda)t},\qquad P(W_q=0)=1-\rho.$$

系内時間の $p$ 分位点は $t_p=-\ln(1-p)/(\mu-\lambda)$。このモデルのp99は平均の約4.605倍ですが、実サービス全般に共通する比率ではありません。

**M/M/1：利用率とテールレイテンシ · 実験**

定常FCFS M/M/1、待機容量無限、μ=100/s。Wqの裾はt=0でρ、残りは待たずに処理されます。下図の縦線は現在の利用率で、値はモデル内の厳密値です。


$\mu=100$/s、$\rho=0.8$ なら平均系内時間50 ms、平均待ち40 ms、p99約230 ms。$\rho=0.9$ では100、90、461 msになります。平均処理時間は常に10 msです。

## 目標から条件付きの境界を求める

このモデルで系内時間p99を200 ms以下にするには：

$$\mu-\lambda\ge\frac{\ln100}{0.2}\approx23.026\ \mathrm{s}^{-1}.$$

$\mu=100$/sなら $\lambda\le76.974$/sです。条件付きの流量範囲であり、長い処理、バッチ、多段処理、下流の低速化があればモデルと負荷試験を見直します。

利用率曲線だけでは拡張の効果も分かりません。ワーカーを増やしても本当のボトルネックの $\mu$ が変わらず、競合で低下する場合すらあります。占有時間と負荷依存の動作から能力を識別します。

## 確認問題

1. 利用率50%なら、半分の要求の総遅延は0ですか。

<details><summary>考え方</summary>

半分は待たずに開始できますが、処理は必要です。$W_q$ は0に確率質量を持ち、$T$ は持ちません。待つ確率と総遅延の分布を混同しないようにします。

</details>

2. 本番の平均時間を4.605倍すればp99になりますか。

<details><summary>考え方</summary>

定常FCFS M/M/1が適用できる場合に限ります。実際は混合分布、多段処理、相関があり得ます。分布を記録してモデル誤差を確認する必要があります。

</details>

## 続けて読む

[MIT Urban Operations Research §4.6.1](https://web.mit.edu/urban_or_book/www/book/chapter4/4.6.1.html)は状態と系内時間の分布を導きます。次章では平均処理時間を保ちながら指数分布の仮定を緩めます。
